インタラクティビティデザイン

英文科目名 担当 単位数 履修年度
Interactivity Design 宮坂榮一 2単位 3年(2005年度)後期
出席 試験
行わない 試験期間中に行う


【感想】

認知工学概論音響心理学担当の宮坂先生。詳細はそちらを参考に。

普通は音響心理学とセットで履修する人が多いのだが、私は2コマ連続で彼の講義は無理だったので今年度(2005年度)にまわした。
といっても、1時限商品企画論、4時限ベンチャービジネス論の間に何か入れなければ損だな、と思ったのと名物教授の講義なので聞かなければもったいないかな、と思って履修しただけなのだが。


さて、授業。

昨年度(2004年度)の空欄はずし済スライドを持っていたので、授業中必死に書き写す手間がなかった。これで先に空欄を埋めておいたので比較的話に集中しながら聞けた。

内容としては、あるシステムのユーザビリティをどう計測するか、ユーザビリティに優れたシステムを作るためにはどのような手法・理論が存在するのか学ぶものであった。

理論としては、この先10年くらいは普遍な、極めてベーシックな理論(GOMSモデル、KLM手法など)を扱う。

参考までに、GOMSモデルとKLM手法について概要を説明をしているページを参考までに提示する。

Passion For The Future

授業自体の総評として、触りだけではあるが認知工学的なアプローチ方法を学ぶことができるので、そういった分野に興味のある人はおもしろいのではないかと思う。

実際に社会で説得材料に使われている手法でもあるから、こういった手法があることを知っておいても損はないと思われる。

将来SEになる人は必ず履修し、概念だけでも知っておいたほうがいい。プレゼンテーションのリソースに、必ず使われる。


印刷物は穴を埋めても話をカバーするだけの存在なので復習しづらい。どういった流れでこの話をしているのか、常に確認する作業が必要である。

説明もほとんどないので、先生の話をメモするくらいの努力が必要。そこは復習しやすいように大いに改善して欲しいところではある。


さて、ここからは個人的な感想。


いつも思うのだがこういったシステム系の講義は興味のある人意外の履修は絶対に勧めない。

こういうことが好きな人でないとおもしろくないのだ。趣味嗜好が激しく問われるものであるから。

逆もまた然りで、櫻井武先生、上野先生、土橋先生、などの文系講義も、興味のある人外の履修を勧めない。


この大学としては、それらをバランスよく履修することを望んでいるだろう。なぜならば、「文系も理系も学べる」を標榜しているのだから。

確かに、様々な土壌を用意しているこの大学は素晴らしいと思う。一つの事象について、全く違った分野からアプローチすることができるから。

実際にそれで「なるほど」と思うことは多々存在する。私は様々な講義を履修しているので、ほとんどの講義を履修しており、そういったことに出くわすことが非常に多い。

たとえば、「ラジオ」。
これも授業によって取り上げ方は全く違う。同時期開講のメディア技術論情報環境論国際情報システムという3つの講義で全く分野の違ったアプローチがある大学なんてほとんど存在しないだろう。

だが、適当に単位だけほしい学生は卒業単位を集めるために履修するのが普通である。そういった学生にとって、興味のない分野の講義を受けることほど苦痛なことはない。

だったらはじめから大学に入るな、なんていう人もいるだろうが、じゃあ本気で勉強したい人以外、大学に入る資格は無いのだろうか?

なるほど文部科学省的にはそうかもしれない。しかし大学というのは勉強するためだけに存在するわけではない。

授業をサボって課外活動をするのも、家でひたすらぐでんぐでんの生活を送るのも、講義に真面目に出て知識を会得するのも、全て大学という場所が提供するものだと思う。

そこで得た経験こそ、「大学で学んだ!」と言える唯一無二のものであると思うのだ。


結論。
興味が無いヤツは、どんな講義も履修すべきではない。単位が欲しいヤツは、楽に単位が出る講義のみを履修すべき。学生は興味のある分野のみ、本気で講義に望むこと。


ただし、ここで不躾ながら大学に要望したいことがある。

たまたま授業にふらっと単位取得目的のみのための学生が出席した時、もしかするとその講義が転機となって道が開けるかもしれない。その時のために、常に備えていてもらいたい。

ムチャな要望というのは承知の上。やる気の無い学生が多いことも事実。居眠りしたり、パソコンで全く違うことをする学生が多いのも事実。

だが、教授はそういった学生にも自身の信念で本気で取り組み、大学という場所を提供することが、彼らに課せられた義務であると、私は思う。(ここで変な消費者の権利を主張するつもりは更々無いが)


そういう意味で、常に門戸を開いている宮坂先生は、人物として相当好きである。いつ何時研究室訪問をしても、本気で学生と向き合って議論してくれる、そんな素晴らしい人物である。


【試験】

試験期間中に行う。

事前案内は


試験内容は、1時間の制限時間では、かなり密度の濃いものです。
ノーと持ち込み可とはいえ、事前に十分に復習しておかないと、試験当日あわてることになりますので注意してください。

1.持ち込み可能なもの
・授業で使用したプリントに自分で手書きしたもの(他人のデッドコピーはだめ)
・自筆ノート
・英語辞書あるいは電子辞書
・電卓
2.筆記用具
鉛筆(HB)あるいは同等なシャープペンシル(薄い鉛筆は不可)


であり、実際の試験問題は

1.Interactive system designに役立つHick’s Lawに関し、以下の問いに答えよ。

(問1-1)以下の英文を日本文に訳しなさい。
The time to choose one among n alternative actions when the probabilities of taking each are equal is given by the following equation. T=a+b・log10(n+a) (ms) This law indicates that selecting from a few broad lists is generally faster than from many small lists.

(問1-2)13項目のメニューの中から1項目を選択するというWEBデザインを考える。この時、次のA,B2つの方法により選択時間をそれぞれTA、TBとする。問1-1で説明した法則が成り立つものとして、TB−TAを求めなさい。だし、a=50、b=150、log102=0.3、log103=0.48、log107=0.85とする。
計算プロセスも記述すること。答えだけのものは加点されない。

A)13項目を6項目と7項目の2つのカテゴリーに分類し、その中から1つだけ選択する。
B)13項目を3項目、5項目、5項目の3つのカテゴリーに分類し、その中から1つだけ選択する。
(問1-3)(問1-2)の結果が、(問1-1)で説明したHick’s Lawに合致していることを簡単に説明しなさい。

2.A君は、下図に示すような摂氏(C)⇔華氏(F)の温度を相互に換算するInteractive Webデザインを設計している。目標は、温度を入力してから「換算」結果を得るまでに要する時間を最小限に抑えることである。ただし、入力する温度の数値は、小数点と符号を含めた平均が4文字、使用者にはタイピングミスがないものとする。また、ラジオボタン◎は、初期状態ではいずれも選択されていないとする。このとき、以下の問に答えよ。

(問2-1)keystroke levelアクション6項目をリストアップしなさい。

(問2-2)リストアップした各アクション項目に、オペレータ(H,M,P,Kのいずれか)を割り当てなさい。さらに、CardらのRule-0(R0)を適用して、Mental Operator Mを割り当て、オペレータ系列を作りなさい。
(問2-3)得られたオペレータ系列に、CardらのRule1〜Rule5(R1、R2、R3,R4,R5)を適用し、最終的なオペレータ系列を求めなさい。その際、削除すべきオペレータに×印を記し、削除する根拠となるRuleの番号(R0〜R5)を記しなさい。


温度換算プログラム
換算方式を選択して温度を入力後、ENTERキーを押してください。
◎華氏から摂氏への換算
◎摂氏から華氏への換算
____ → ____


(注)問2-2、問2-3の記述の仕方は以下の例のようにすること

問2-2 対応する項目番号、R0 R0 R0 R0
オペレータ系列
問2-3 削除するオペレータ ×     × ×   ×   ×   ×
適用するRule R2     R4 R2   R5   R2   R3
最終的に得られる系列            


(問2-4)各オペレータに標準的な実行時間(H=0.4、M=1.2、P=1.1、K=0.28sec)を割り当て、実行時間を計算しなさい。計算プロセスも記述すること。答えだけのものは加点されない。
(問2-5)「華氏から摂氏への変換」あるいは「摂氏から華氏への換算」のラジオボタン◎のいずれか一方が、初期状態で既に選択されているように設計を変更したとき、1回の換算を実行する平均の実行時間を求めなさい。計算プロセスも記述すること。答えだけのものは加点されない。
(問2-6)デザインを変更して、「換算」に要する時間が最小になるようなデザインの一例を挙げ、簡単に説明しなさい。

3.GOMSモデルについて以下の問答えよ。
(問3-1)GOMSモデルの4つの構成要素を英語と日本語で示しなさい。
(問3-2)4種類のGOMS技法を示し、それぞれの名称が何の頭文字に由来するのか示しなさい。
(問3-3)GOMSモデルはどのような場合に有効であるかについて説明しなさい。

4.ホームシアターシステムのユーザビリティ調査に関し、以下のようなアンケートを用意した。これについて、以下の問いに答えよ。

<アンケート内容>
ホームシアターは、映画を、家族で大画面・マルチチャンネル音響で楽しめるので娯楽としても満足できるし、また文化という点からも有益だから、日本でも急速に普及するだろう」という意見がありますが、あなたはどうお考えになりますか。以下のなかからふさわしい番号に○を付けてください。」
1.そう思う
2.どちらかというとそう思う
3.どちらかというとそう思わない
4.そう思わない
5.どちらともいえない

(問4-1)一般に、アンケートの設問を作成する際に、最も「注意すべき点」を3つ挙げなさい。
(問4-2)(問4-1)に挙げた「注意すべき点」を参考に、ホームシアターシステムに関する上述のアンケートの設問の仕方について問題があると思う場合は、問題となる部分を指摘し、その理由を「注意すべき点」と関連付けて述べなさい。特に問題がなければ、「なし」と記述しなさい。

であった。問題を解き、書き写してくるのが死ぬほど大変だった。ただでさえ時間がないのによくもまぁこんなことやるな、とわれながら思う。

試験は2003年度(2年前)の過去問を手に入れていたのでそれを解いていった。いくつかは験問題が変わってなかったので解きやすい部分が多かった。

課題は2回。
1回目は

本キャンパス内、あるいは、家庭や外部施設にあるinteractive system(ハード、ソフトいずれでもよい)から1つを取り上げ、以下の問いに答えてください
1.TASKを記述してください

2.このシステムのinteractivityをusabilityの観点から記述し、改善すべき事項を列挙してください

であり、2回目は

出場者番号,1回目得点,2回目得点
1, 50, 70
3, 55, 55
10, 78, 45
2, 95, 90
4, 33, 25
8, 65, 89
5, 88, 35
9, 45, 95
7, 25, 20
6, 24, 62


上のテキストデータが与えられた。各データはカンマで区切られている。(CSV形式)

各自、メモ帳でテキストデータを作成すること。
   data.txt

Goal:上図を完成するまでの全プロセスを、
sub-goalsをたてながら記述する。

条件1:総合得点の高い順に表示
条件2:総合得点が同じ場合は、2回目の得点が高い方を順位を高くする
条件3:グラフの縦棒の説明は、図中に入れる
条件4:EXCELを使用する

Hints(例)
Sub-goal-1:text-dataをEXCELにインポートする。
Sub-goal-2:EXCEL上で、出場者の総合得点を求める
Sub-goal-3:与えられた条件に従って、データをソートする
Sub-goal-4:図を作成する
Sub-goal-5:与えられた図に合致するよう図を修正する
必ず、Sub-goalを記述すること。Sub-goalをさらに分けるときは,Sub-goal-1-1, Sub-goal-1-2,.….とする。

であった。2回目の課題はとにかく時間がかかった�