メディア技術論

英文科目名 担当 単位数 履修年度
Communication Technologies and Human Society 田豊 2単位 3年(2005年度)後期
出席 試験
合計3回行ったミニレポートによる 行わない


【感想】

2年ぶりに山田先生。情報リテラシー演習以来である。他に選択肢が無かったので履修した。

情報メディア学科長やら、様々な役職を兼任しているということで心労がたまっているのだろうか、最近あまり元気が無い気がする。この間もメディセンから死にそうな顔で3号館に向かって歩いていた。大丈夫かな…本当に心配である。

詳細は情報リテラシー演習の箇所で。

さて授業であるが、

さまざまなメディア技術と社会と人間の関係を技術の視点から学ぶ

シラバスより引用)ものであった。

講義は至ってオーソドックスなパワーポイント投影。その資料は学内限定で山田先生のページに公開されており、それをプリントアウトしてから授業を受ける。


シラバスを読めば納得のいく内容。確かに、技術を分かりやすく説明していることは間違いない。そういった技術に興味ある人にとっては履修してもいいかもしれない。

ただし。興味の無い人には恐ろしく退屈である。


この講義は専門科目の「情報社会」分野に配当されているのだが、「情報システム」に変えたほうがいいと思う。

というのも、社会的な視野は入れているのだが、多々問題があるからだ。

例えば、1回目のレポートに

社会的背景(ニーズ等)、技術的な背景(シーズ等)の具体的事項をその理由・経緯とともに述べよ

という箇所がある。これは、前提(問題)がおかしい。

社会的背景と、技術的背景は不可分であるからだ。

社会的背景があるから技術的背景が生まれ、技術的背景があるから社会的背景が生まれる。それは各々の相互作用によって構築されるものである。

いや、もっと大きな視点で述べると、それでも不十分である。


例えば電話であったら、社会的背景と技術的背景の他に「空間」があっただろうし、電話を取り巻く全ての「モノ」も電話を生み出した背景に存在する。


…とはいったものの。

この授業の目的を考えると、この内容でいいのかもしれない。これは、何を語りたいかという目的の中で、用いられるべき理論であるし、この講義で語りたいことは、あくまでもメディア技術の話だから。


余談。
結局、設問には超模範解答を書いた。「シーズは〜〜である。」「ニーズは〜〜である。」と。

ある友人は延々と問いに答えた後、「ニーズとシーズは分けることはできません。」と最後の最後に書いたそうだ。さすがである。

私もちょっと反抗してみた。

設問2
(1)メディア技術の開発の歴史の中で、あるメディアについての技術「革新」の具体的事例および技術「改善」の具体的事例をなぜ「革新」なのか、なぜ「改善」なのか理由とともに述べよ。


の箇所で、私が取り上げたメディアは…

「文字」

読みながら苦笑してる山田先生の顔が目に浮かんだ。


【試験】

行わない。評価はレポートによる。

1回目のレポートは

設問1
(1)電信について、歴史的にみた社会的背景(ニーズ等)、技術的な背景(シーズ等)の具体的事項をその理由・経緯とともに述べよ。

(2)電信について、歴史的にみた社会的影響、技術的な影響の具体的事項をその理由・経緯とともに述べよ。

(3)電話について、歴史的にみた社会的背景(ニーズ等)、技術的な背景(シーズ等)の具体的事項をその理由・経緯とともに述べよ。

(4)電話について、歴史的にみた社会的影響、技術的な影響の具体的事項をその理由・経緯とともに述べよ。。

設問2
(1)メディア技術の開発の歴史の中で、あるメディアについての技術「革新」の具体的事例および技術「改善」の具体的事例をなぜ「革新」なのか、なぜ「改善」なのか理由とともに述べよ。

設問3
(1)電信がFAXに発展するためにはどのような要素技術が必要であったか。その技術概要と、必要な理由を述べよ。

(2)FAXが長年「眠れる巨人」と呼ばれていた理由についてシーズ(要素技術)面およびニーズ(需要)面から具体的に述べよ。


提出方法

1.書式
A4レポート用紙2,3枚
学籍番号、氏名を右上に記入
複数枚のときは、左肩をホッチキスで止める
表紙は不要
手書きでも可能

2.提出期限
2005年11月30日(水)授業開始時

3.提出先
授業開始時に提出

というものであった。
2回目の課題は

1.インターネット
アメリカにおけるインターネットの研究開発の初期において、以下のような分野で大きなパラダイム・シフトがあったことが「自立・分散・協調」を基本理念とするインターネット開発の成功に大きく寄与していると思われる。
・連邦予算の研究開発投資方法
・研究開発プロジェクトのあり方
・研究開発プロジェクトのリーダの資質
・研究開発者の年齢層

各分野においてどのようなパラダイム・シフトがあったか具体的に、理由を添えて述べよ。

2.テレビ
日本において、商業テレビ放送開始時にNHKは受信契約者から受信料を徴収するビジネスモデルを採用したが、民間放送日本テレビ創始者である正力松太郎は、別のビジネスモデルを採用した。そのビジネスモデルの内容と、それを定着させるためにとった施策について、その考え方とともに述べよ。

3.レコード
iPODが爆発的にマーケットシェアを確保した理由を、携帯型MD/CDプレーヤと対比して、自分なりに3点、なぜそのような理由がユーザにとって2006年時点で優先的になったのかの考察も含めて述べよ。

4.テクノロジーが基本的ニーズを満たす遷移点
テクノロジーが普通のユーザの基本的ニーズを満たす遷移点を超えると、テクノロジーは「それで充分」で、もはや重要ではなくなり、ユーザ経験が支配的となる。


以下の設問で、「携帯CDプレーヤー」をすべて「携帯MDプレーヤー」と読み替えて回答してもよい。
1)携帯CDプレーヤーの場合、普通のユーザにとって「それで充分」なテクノロジーとは何だと思うか、理由とともに具体的に述べよ。
2)携帯CDプレーヤーの場合、すでにテクノロジーは「それで充分」で、ユーザ経験(便利さ、信頼性、経済性など)が支配的になっている。支配的なユーザ経験の具体例を2つ理由とともに述べよ。
3)上記の遷移点を超えると、テクノロジーは「それで充分」なのにもかかわらず、メーカやベンダーは種々の過剰な品質や機能を提供しようとする。その理由は何故かを述べよ。また、携帯CDプレーヤーを例に過剰な品質や機能の具体例を2つ、理由とともに述べよ。

であった。授業で話していないことも問うので、時間がかかる。