環境民俗学
英文科目名 | 担当 | 単位数 | 履修年度 |
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Environment Folklore | 久保康顕 | 2単位 | 3年(2005年度)後期 |
出席 | 試験 |
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行わない | 行わない |
【感想】
担当は久保康顕先生。専門が土着の信仰関係なのだとか?(詳細不明)
神社などの古文書を読み解き、 昔の人がどういう生活をしていたのかを明らかにしているということ。
現在はドクターを取るために調査の傍ら、執筆活動や非常勤講師をしている。國學院大學の博士課程に所属。
群馬大学で教育学 の学士・修士を取り、その後3,4年間、教員をしていたそうだ。
講義内容としては、民俗学という学問の位置づけからはじまる。他の学問のとの関係の中でどういった位置にあるのか、1回かけて丁寧に教えてくれる。
その後、民俗学の祖と呼ばれる柳田国男の紹介などをし、最後は民俗学の基本である古文書を3回ほどかけて読む。これは高校時代に漢文を取っていたらおもしろいハズ。
祭の際の座り位置から人間関係を分析するなんて、おもしろくてたまらない。
総括。
とにかくおもしろい講義だった。自分がyc以外に受かっていた文学部に進学していたら、確実にこういったことをやっていたと思う。
具体的におもしろい点は、人々の振る舞いや、古文書、口伝で残っているもの、あらゆるものを駆使しながら、現在までの連続性を自身の視点で語ることである。
既存の学問だと分断的に捉えることが非常に多かったので、学際的なこういった考え方は非常に性に合っていた。
自分の専門との関連性を考えても、本当にいい講義だったといえるし、他の学生でもこの講義で得られた視点は、持っていて損はないと思う。
こういった視点や手法を持つ人をもっとYCに招聘して欲しい。この手法は、環境問題解決にも、今後社会に出る前に必要になるはずだから。統計分析も大事だが、足で情報を稼ぐこと。この大学に足りない視点は、まさにここにあると思う。
【試験】
行わない。評価は課題によるもののみ。
課題内容は
提出期限:2月8日17:00まで
提出場所:教務課
2400字以上、枚数制限なし。
A4タテ用紙にヨコ書きで。字数、行数自由。
問題
1.この講義の内容と自分の研究、関心のリンクするところと、展望を論述しなさい。
2.新編武蔵風土記稿に載っている事項の現状報告しなさい(3つ以上)。
であった。
2400字というとA4で2枚半くらい。字数配分は関係ないので、1を多く書いても2を多く書いても良い。
以下、余談。
久保先生と立ち話をした時、実際にyc周辺を一緒にフィールドワークをしようということになった。
もともとは個人的に、先生と2人で車で行くつもりだったのだが「せっかくだから」ということでアナウンスしたら20人くらい集まった。(それを元にレポートを書いてもいい、としたからかも知れないが)
2月3日、新編武蔵風土記稿の記述を元にいくつかの場所にフィールドワークをした。すると、現状報告できることがいくつか出てきた。
実際に足で歩かないと分からないことが多かった。フィールドワークの前に横浜市歴史博物館で色々下調べをしたのだが、それだけではわからないことが多かったので、足で情報を得る重要性を知った。
これは毎年恒例行事にしてもらいたい。来年も卒論の進捗状況次第だが、ぜひ参加させてもらおうと思う。また新しい発見があるかもしれない。
さて、フィールドワーク後、久保先生と渋谷のエクセルシオールで話をした。先生は渋谷で別件の用事があるための時間つぶし、私は池袋で友達と中華を食べに行く前の時間つぶしで。
そのとき、色々と話を聞かせてもらった。文系のドクターを取るのは大変だということ、教員時代の話や先生の学部&修士時代の話など。
人生の身近な先輩の話、本当にためになった。授業だけでは決して聞くことの出来ない話ばかり。久保先生、本当にありがとうございました。
さらに余談。
ここ20年で港北は全く様子が変わった。
私の両親が鷺沼に引っ越してきた時(30年前)はド田舎だったのが、港北ニュータウンの開発とともに、その面影はほとんどなくなった。
だが、現在までの「連続性」が全て消えたわけではない。
新編武蔵風土記稿に記述がある箇所が新興住宅地の中に埋もれる形で現存していたり、もし消滅していたとしても、人々の記憶や語りや振る舞いの中にまだ残っていることがある。
民俗学はその「連続性」を語る学問であるが、自分ならその「連続性」を踏まえて、可能的様態を論じ、実践できるかもしれない。
この港北ニュータウンを論じるとき、その「連続性」をどこかで意識してもらいたいし、意識しなければならないと、レポートを提出した帰りに誰もいない中川駅でふと思った。