情報の倫理

英文科目名 担当 単位数 履修年度
Information Ethics 川口由起子 2単位 3年(2005年度)前期
出席 試験
毎回行う授業内課題による 最後の授業を利用して行う


【感想】

担当は川口由起子先生。日本学術振興会特別研究員東京大学)である。


専門は

情報科学(とくに言語理解、言語使用について)
・情報倫理(FINE-情報倫理の構築プロジェクト)
言語哲学

である。(一回目講義パワーポイントより)


服のセンスがよい。ただし、若そうなのに白髪がメチャクチャ多い。髪の根っこは真っ白である。苦労人なのだろうか。友達はツンデレツンデレと言っていた。


授業内容は情報のやりとりにおける倫理的問題、倫理的判断についての考察。とにかく「考える」ことに主眼を置いた講義であった。扱うネタもバラエティに富んでおり、今までとは違ったアプローチしているので非常におもしろい。「専門家とは何か」という回はなかなかよかった。

他にも、授業内課題であるが、例を挙げれば、

1.フリーソフトウェアについて、自分の立場を示し、その理由を述べよ
2.オープンソースソフトについて、自分の立場を示し、その理由を述べよ
*自分の立場…賛成とか反対とか無関心とか

ということから分かるように、とにかく考えさせる。さらに、その書いた内容をまわりの人と交換し、その人の意見に対して自分なりの回答を書く、ということから分かるようにさらに考えさせる。なかなかおもしろい試みだと思う。


と、よいところばかり書いてあるがよくない点も多い。第一に、何を話しているのか分かりにくい。

モソモソモソモソ、自己満足のように話す。
第二に、彼女の性格なのか、非常に神経質。「お静かに」と、少しでも話していると注意する。実際、外に出て行かせたりもしていた。
第三に、彼女の性格に嫌悪感を抱く人も少なからずいる。

私は基本的に他人を信用しません」とか「私は常に最悪の状況を想定して生きています。そうすれば悪いことが起こっても最悪ではないと思えるからです

と豪語しているからである。(いい大人が人前で何を言っているのだと思うが)総合的に見ると好きな講義であった。考える作業が苦手ではない人にはオススメである。


【試験】

最後の授業を利用して行う。持ち込みは印刷物、手書きノートは可。電子辞書、パソコンは不可。

試験問題は

A.当てはまるものをひとつ選び、解答欄に記号で選択せよ(全て4択。量が多くて選択肢のメモは不可能でした。)
(1)ARPAネットがはじまったのは
(2)現在、日本で着床前陣団が許可されるための条件とは、受精卵の親が
(3)「ヒポクラテスの誓い」とは
(4)ナップスター社の創始者
(5)「情報革命」とは
(6)肖像パブリシティ権擁護監視気候によれば、パブリシティ権とは
(7)自由の概念を、「積極的自由」と「消極的自由」に区分したのは
(8)GNUプロジェクトを始めたのは
(9)プライバシーの権利を「自己コントロール権」として定義しなおしたのは
(10)「モリス・ワーム事件」とは
(11)1970年代までのコンピュータ技術は
(12)ナップスターがBMGと和解したのは
(13)P2P(ピアツーピア)の方式には
(14)GNUの定義によれば、フリーソフトウェアとは
(15)現在のインターネットの期限と考えられているのは
(16)論理的に正しい推論はどれか。(日常的な直感や経験的知識に頼らず、あくまで理論的に考えること。)
(17)アイスランドで施行された「国民健康データベース法」では
(18)平成15年末の日本におけるインターネットの人口普及率は
(19)Winnyの開発者が逮捕されたときの容疑は
(20)個人情報保護法により、個人情報として保護されるものには


B.次のテーマのうちひとつを選び、その範囲内で自分で問題をひとつ設定し、賛成か反対かを明記

した上で、意見を整合的に述べよ。(400字)ただし、
1.原則的に、授業内に課題して行った問題を取り上げてはならない
2.引用を含む場合は、引用部分および引用元を明確に記すこと。また、引用部分の合計の量が全体の1/3を超えてはならない。
3.字数が1/2に満たない場合、および、著しく判読しづらい場合は、そのことが減点の対象となる。


(1)自由主義、または、自由について
(2)ハッカー倫理について(ハッカーの定義、無許諾アクセスの問題、フリーソフトウェア運動等

を含む)
(3)プライバシー、または、個人情報の保護における倫理的問題について
(4)情報と判断における倫理的問題について
(5)インターネットにおける倫理的問題について
(6)著作権、または、コピーレフトの概念における倫理的問題について

(最後に参考で授業中に扱った課題の一覧がある)

前半はとにかく忙しい。とにかく調べる。後半は後半で下書きをしていると一瞬で時間がなくなる。

なお、この問題文を写すのは相当大変であった。


成績評価方法は

100点を上限とし*、
毎回の簡単なレポート(出席評価を兼ねる)
一律4点×11=44点

これに加え、期末試験56点
発言ボーナス最大10点
発表者ボーナス一律20点

*最終合計点が100点を超えた場合でも、試験が満点でない場合、少なくとも1点減点する。

である。(一回目講義パワーポイントより)最後の一文が彼女らしい。

とにかく発表ボーナスは大きい。私はペアでやったので15点しかもらえなかったが、それでも大きい。出席点が不安な人や、「優」を狙っている人は是非すべきだと思う。というか相当オイシイ、この制度。

ノートは当初、配布しないこととしたが、配布担当の生徒がグループごとに印刷したものを配布することになった。興味深い内容満載のスライドなのでもらえることになってよかった。