異文化間コミュニケーション
英文科目名 | 担当 | 単位数 | 履修年度 |
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International Communication | 岩男寿美子 | 2単位 | 2年(2004年度)後期 |
出席 | 試験 |
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行わない | 試験期間中に行う |
【感想】
担当は岩男先生。誰かロックマンとか言ってたわ。
1935年1月2日生。
慶応義塾大学文学部卒、エール大学大学院博士課程修了。ハーバード大学大学院講師、慶応義塾大学メディア・コミュニケーション研究所教授などを経て現職。社会心理学・女性学専攻。男女共同参画審議会委員、元・国家公安委員会の委員。最近は皇室典範に関する有識者会議メンバーに選ばれ、女性天皇についての議論をしているようである。
2006年3月彼女が海外向け雑誌「ジャパンエコー」に発表した論文が論議を巻き起こした。
さて講義内容であるが異文化を合わせ鏡にして、自文化を知る、ということが目的の講義である。それを聞くと比較文化論らしくておもしろいのではないか、と思うのだが…
実際は全くおもしろいと思わなかった。それ以前にこの講義内容全てが詭弁であるように思える。
いわゆる「日本人は〜〜な傾向がある」「アメリカ人は〜〜な傾向がある」などの日本人論、アメリカ人論を大学の講義で、今さら言われてもどうしろというのか。そんなものは受験の時の現代文でお腹イッパイである。
例えば、彼女が使う「欧米人」と「日本人」の比較。そもそも比べることのできない2つを比べても全く意味がない。
欧米と言ってもアメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア等々、それらを一緒に「欧米」と扱ってしまってもよいのか。イタリアとフランス、それだけでも様々な相違点があるのは火を見るより明らかである。
フランス、イギリスにも我々の普段イメージするフランス人を含め、移民で来た黒人もいる。ドイツにはアラブ系の移民もいる。アメリカではヨーロッパ系、アジア系、ヒスパニック系…(以下略
それら全てが彼女からすると「欧米」なのである。
「日本人」にしてもそうである。そもそも、日本人とは何なのか。国籍を持っていれば日本人なのか。そんなことを言えば世界にいる60億人、理論上は日本人になりうる。日本語を話せば日本人なのか。それだけならばデーブ・スペクターやパックンは確実に日本人である。
いや、そもそも日本語とはなんなのか。方言は含まれないのか…?出生地が日本であるなら日本人、というならば逆に日本で生まれなければ日本人ではないのか。ならばスペースシャトルで子供が生まれたならばその子は宇宙人になってしまうではないか。在日中国・朝鮮人やアイヌ民族もまとめて「日本人」と扱ってもよいのか。彼らには彼らのアイデンティティが確実に存在している。
そもそも、「日本人」という概念は「日本」が明治になって形成され、太平洋戦争後に確定された「日本」という国家の境界や領域を前提としたものである。そういう境界や領域を前提としているがゆえに、均質的な空間を形成しているかに見える日本列島がいかに多様性に満ちているか、その多様性から生じる問題を持っているにもかかわらず、それでもそこに「日本人」の一貫した歴史性を言うのであれば、それは神話でしかない。
と、話は脱線したわけであるが。
一体彼女は何を目的にしてこんなくだらない比較をしているのであろうか。この程度であるならば「こんなこと比較するとオモシロイヨー」というワイドショーや井戸端会議の話のネタにしかならない。
確かに、そうやって枝葉を省いて、多くの人に適用できるような理論を出すのは面白いかもしれないし、そういう研究があるのも事実であるが、私にとっては意味のない講義だった。
もし比較をするのであれば、その分析結果から異文化とのコミュニケーションに使えるのか、まで彼女自身の経験から、結論を論じてくれればおもしろいと思うのだが。(初回ガイダンスではそんなことを言っていたが私の理解能力では講義を理解しきれなかった。)
彼女に出会ったのはこの授業がはじめてであるし、彼女の研究内容がどういうものか、私は詳細を全く知らない。あくまでもこの感想は授業を受けた上での感想である。
彼女がこの程度の研究をしているとは思ってないし、してはならないと思っている。是非、これ以外の講義も受講して彼女の研究の一端に触れたいものである。
それとこの人の板書は意味不明なので是非なんとかしてもらいたい。後でノートを見直しても単語の羅列になっている。
【試験】
試験期間中に行われる。昨年度(2003年度)は小テストおよびレポートのみで、試験はなかったらしい。
事前案内は
・持ち込み不可
・試験問題をよく読むこと
・問いに入れるべきkeywordを組み込むこと
・問うていることに対して的確に回答すること
であり、試験問題は
・異文化間コミュニケーションを学ぶ目的は何ですか。
・日本は高文脈文化ですか、低文脈文化ですか。それを選び、できるだけ多く具体例を述べ、説明しなさい。
・コンドンは文化をどのように定義したか説明しなさい。
・日本人のコミュニケーションは「甘え」が多いと言われますが、その理由を日本人のコミュニケーションの特徴を踏まえて説明しなさい。
・日本は容易に外来文化を受容しますが、それはなぜか説明しなさい。
・「顔がない日本人」という主張がありますが、それを実証研究を挙げながら説明しなさい。
であった(詳細は違いますがご了承を)。授業をとりあえず聞いていれば問題なく解けるものばかりであった。