情報と行動

英文科目名 担当 単位数 履修年度
Information and Action 川村久美子 2単位 4年(2006年度)前期
出席 試験
出席カードを最前列の学生に1枚ずつ配布させ行う 試験期間中に行う

【感想】

担当は1年のとき履修した心のメカニズム担当の川村先生。
上智大学卒業後、コーネル大学にて社会学修士号東京都立大学(現・首都大学東京)にて心理学博士号取得。
だから専門が「社会心理学」なのか…。


さて、講義。

出席は最前列の学生にカードを1枚ずつ配布させ、行う。なお、遅刻者は先生のところに直接取りに行くのだが、カードの色が違う。


内容であるが、非常におもしろかった。私の所属研究室の先生の元専門が認知科学だったので、(今はさまざまな学問領域のハイブリッド)その系譜をなぞることができたからだ。

従来の認知科学がどのように生まれ、理論的な問題点がどういった経緯で浮き彫りにされたか。その問題点がどう新しい理論に取り込まれたのか、さらにどのようにそれが発展していくのか。

それを13回かけて丁寧に見ていく。
課題もきちんとその流れに沿って出されるので、授業の進め方という点では全く問題ない。


とはいえ…。
心のメカニズムと同様、スライドの作り方が上手くない。文字を詰め込みすぎていてノートを取れる量ではない。(最終的にスライドを部屋前に掲示してコピーするようにしてくれたが…)


認知科学分野の研究室の人にはおもしろい講義だと思う。ただ、そうでない人はやはり流れが分からないだろうから、意味が分からないことになる。しかし、これ以上やさしくするのは無理だろう。

3年の専門科目と考えるときちんとした位置づけなのではないか。こういった分野が興味あるのであれば、ぜひ履修して理解を深めるのがいい。


【試験】

試験問題は

1.従来の認知科学アフォーダンス理論とでは人間知性の説明がどのように異なるのかを述べなさい。また、そこでの環境の違いについて考察しなさい。
2.人工知能学者を悩ますフレーム問題とは何かを述べなさい。
3.生まれながらに目が不自由な人は「わたし−あなた」という代名詞の獲得が遅れることが報告されている。自己感覚の発達不全があるらしいのだ。また、どの年齢でも、失明の経験は「事故感覚」の変化をもたらすことが分かっている。なぜそのような自体が起こるのか、四角と自己感覚の関係に着目しながらその理由を説明しなさい。
4.未開部族の人間は相当な訓練を受けないと映画を鑑賞できないといわれる。映画を観ても西洋人のような理解とはならないし、頭痛と吐き気を起こす。なぜそうなるのか。映画を通して得られる間接的な体験を日常的な経験の違いを元に、その理由を考察しなさい。
5.身体の動きの自由度が高く、それが柔軟なる行動を可能にしている。しかし自由度が大きいことは、中枢が出す運動プログラムによって手足の動きが過不足なく特定されているという説明の信憑性を低くしている。ではどのような説明が可能なのか自己組織や現象との関連から議論しなさい。


であった。


課題は2回。

1回目は

実験結果各自報告
1 <<左右逆転眼鏡>>
■視野の動揺
(1)左右逆転眼鏡の装着時に頭を左右水平に動かす実験
(2)頭を右か左に傾け、その見え方の変化について

■身体感覚
(1)目的の方向に頭を向ける:目標を左右、上下に動かして追尾も追加
(2)目で見ながら大きなものと小さなものを触る

■聴覚と視覚
(1)視野内から声をかける
(2)視野外から声をかける

2 <<上下反転眼鏡>>
■身体の見え
(1)手足、場所を見る
(2)三箇所を続けて見る
(3)床を見る

■他者知覚
(1)友人の顔を見る
(2)他者の動きを見る

■行動
(1)歩く

3 <<その他の活動>>
■トランプゲーム:ババ抜きをする

■■全体を通しての感想■■

であり、 2回目は

1.
・後ろ歩きをしてみる。→視覚情報がない体験をしてみる。
・鏡で後ろの景色を映しながら、後ろ歩きをしてみる。→鏡を見ないで後ろ歩きをしてみたときとの、印象の違いを考察する。
・同じようにして、前歩きをしてみる。
・他の人に遠めの距離から、自分と向き合うように立ってもらう。自分がいる方に向かって歩いてもらう。自分はその場から動かない。前から歩いてくる人が、自分の手を水平に伸ばしてぶつかる所まで近づいたと思ったら、「止まれ」と言う。決して、最初から手を伸ばしたままにしておかないこと。自分の前にいる人が止まったら、実際に手を伸ばして、きちんとタウを特定できているかどうかを確認する。→視覚によるタウの特定。いつ自分の手が相手にぶつかるかを特定する。

2.
・適当な道路の近くで目隠しをして、自動車にぶつからない程度離れた場所に立つ。
自動車が通過したと思った瞬間に、手を挙げてもらう。→聴覚によるタウの特定。いつ自動車から逃げたらいいかを特定する。

であった。