現代の財産法

英文科目名 担当 単位数 履修年度
Modern Property Law 倉沢康一郎 2単位 2年(2004年度)後期
出席 試験
一切行わない 試験期間中に行う


【感想】

担当教授は倉沢康一郎先生。「ジェントルマン」という言葉がよく似合う、総白髪の先生である。
元々、慶應義塾大学の教授である。法学部長も務められた。
現在は慶應義塾大学名誉教授。倉沢三田会というものも存在する。
退職後、この大学へ。それも退職後、非常勤講師としてこの講義を受け持つ。以前は「環境と法」「法と市民(憲法を含む)」なども受け持っておられた。(注:2005年度からまた法と市民を受け持っている。詳細は法と市民の追記参照。

いきなり話は外れるが、私が習っている茶道の社中に慶應義塾大学産業研究所助教授がいる。彼が若い頃、倉沢先生の講義を受けたことがあるらしい。世の中は狭いものである。

さて、授業。個人的には今期(2年前期。2004年度前期)で1,2を争うおもしろさの授業であった。元々法律に興味があるので聞いているとそういう法的根拠で世の中は動いているのだ、と思うことが本当に多かった。

最終講で先生が

現代の財産法は刻々と変化しており、それを体系的に学ぶのは大変難しいかと思いました。その中で少しでも財産権について話すことができたことは私にとって幸いです。試験では力作を期待しています。ご静聴ありがとうございました。

とおっしゃっていたが、それを見事に伝えてくださった。

六法全書を片手にあれだけの講義ができる人を私はこれまで見たことがありません

五島育英会の秋山理事長がおっしゃったようだが、それは本当である。
(武蔵工業会同窓会報武蔵154号より。)

ただし。
1回目、2回目、3回目と出席者が半分になる。結局、最終講では教室の1/4が埋まった程度ではないか。出席を一切取らない、授業に興味を持ちにくい、ノートをつくらない(板書はメモのみ)、話に抑揚がない、となると一般的に言われるつまらない授業の要素を兼ね備えているので仕方がない気もするのではあるが…。
法律に興味が無い人にとってはかなりつらい講義であると思う。(逆に法律に興味がある人ばかりだから、慶應で尊敬されたのだろう)

どうでもいいがこの先生、一回分講義のカウントを間違えて7月1週目に授業が終わってしまった。上記の「シメ」の言葉を言った後、しまった、という顔をしていたのが印象的であった。


【試験】

試験期間中に行う。
試験問題は

以下の3問のうち1つについて解答せよ

・債権の発生原因
・建物の区分所有
・企業主体としての会社の意義と種類

であった。板書をするだけでは満足のいく解答は書けない。授業に出て、先生の話をメモすることが必要であろう。

またも余談ではあるが、昨年度の問題で
現代の財産法の視点から見た知的財産法について解答せよ
のような問題が出題されたらしく、そこにヤマを張った人がかなり多かった。しかし、出題は上記の問題。はじまった瞬間、「終わった」という顔をする人がちらほらと。

さらに、余談ではあるが、

倉沢先生ごめんなさい、知的財産法しか勉強していないのでこれについて述べます

と断った上で色々論じたツワモノもいた。(ちなみに、この人の評価は「不可」であった)


【追記】

上で知的財産法について述べ「不可」になった人もいると書いたが、なん「良」をもらった人もいる。きちんと説明できれば問題に解答しなくても単位はもらえることを初めて知った。(間違いなく倉沢先生だけだろう)